ペンタックス K20D
防塵・防滴ボディを採用した、上級志向のエントリー機
世界3大カメラ賞を総ナメにしたK10D発売からわずか1年4ヶ月、後継機種のK20Dが発売された。K20Dは発表前からWeb上でいろいろと話題になっていた注目機種で、ペンタックスファンの期待はかなり高かったようだ。フタを開けてみると予想以上の部分もあり、期待を裏切った部分もあったが、全体としてはかなりの進化が見て取れる。
ちょっと意外だったのが発売時の価格が量販店で15万円弱と、K10Dの後継機種としては高くなっていたことだ。この価格は値下がりしたキヤノン EOS
40Dよりも高価で、ソニー α700とそれほど差がない。これを高いと思うか、リーズナブルと思うかはK20Dのちょっと毛色の違うキャラクターを良く知ってからでないと評価が難しいと思う。
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主な特徴
・1460万画素専用CMOSセンサー搭載
・ボディ内手ぶれ補正「シェイクリダクション」
・センサーに付着したゴミの位置を知らせる「ダストアラート」
・プリセット画像仕上げ「カスタムイメージ」
・ペンタックス初のライブビュー
・約1EV分の「ダイナミックレンジ拡大機能」
・2.7型23万画素高視野角液晶モニター
2008年3月発売
発売時参考価格:149,800円
ペンタックス K20D 価格比較
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APS-Cサイズ機最高となる1460万画素CMOSセンサー搭載
ペンタックスがK20Dで最もアピールしているのが、1460万画素CMOSセンサーと画像エンジン「PRIME」が作り出す優れた画質だ。「K10D」はその画質の良さから、従来のペンタックスのネガティブなイメージを覆すことに成功したが、K20Dではさらにその上を目指している。
これまでペンタックスのセンサーはすべてソニー製だったが、ソニーから調達する限り、最新の撮像素子を良い条件で調達するのは、あまり数が見込めないペンタックスにとっては難しかったと思われる。そこでK20Dでは調達先をサムスンに変え、K20D専用にペンタックスと共同でセンサーを開発した。
K10Dでは1020万画素だったCCDが、K20Dでは一気に1460万画素となり、ペンタックスとしては初のCMOSセンサーだ。ここまで高画素化させたのは解像度アップのためだろうが、通常同じセンサーサイズで高画素化すると、ノイズなどによる画質の低下が心配される。この新開発のCMOSセンサーは1200万画素クラスの受光面積を確保し、マイクロレンズのギャップをなくしたことで受光効率をアップ。さらにセンサー内部でノイズ除去を行った結果、従来よりも高解像度で低ノイズを実現しているという。
モニターでピクセル等倍鑑賞すると、シャープさがあまり感じられないソフトな描写だが、K10Dと比較すると明らかに解像度がアップしている。A4プリントでその差を見出すのは困難だろうが、こと解像度にかんしてはAPS-Cサイズ機の中では最も高いのではないだろうか。画素数が1.4倍以上になったのにも関わらず、高感度ノイズが低減されているようだ。もっともK10Dがあまり高感度ノイズを積極的に除去していないので、K20Dにしても他の1000万画素、1200万画素機と比較するとノイズは多めで、高感度に強いとはいえない。
「ダイナミックレンジ拡大」や「カスタムイメージ」など作画機能が充実
作画のための機能もかなり充実した。とはいっても、これらの機能はK20D独自の機能ではないので目新しさはないが、逆に今後こういった作画機能がないとハンデになるだろう。
ハイライト側1段分の効果がある「ダイナミックレンジ拡大」
ソニーの「Dレンジオプティマイザー」、ニコンのD-ライティング機構にあたり、ダイナミックレンジを広げて白とび、シャドー部のつぶれを同時に防ごうというもの。ソニーやニコンのように効き具合を調整することはできなく、「ON」と「OFF」の切り替えのみ。「ON」にすると最低感度がISO200になり、ハイライト側を1段分拡大する。シャドー側は特に補正効果はないようだ。
高感度ノイズリダクションを追加
従来は長時間ノイズリダクションのみだったが、K20Dでは高感度ノイズリダクションを追加。高感度ノイズリダクションは3段階に設定でき、「微弱」「弱」「強」と変則的なところがおもしろい。「微弱」「弱」だと目に見えて効果があるわけではないが、解像感が損なわれないので、常用してもよさそうだ。
6種類の仕上がりの中から選べる「カスタムイメージ」
こちらも必須になりつつある機能で、キヤノンの「ピクチャースタイル」ニコンの「ピクチャーコントロール」にあたる。鮮やかさ、コントラスト、シャープネスをあらかじめプリセットした、「鮮やか」「ナチュラル」「人物」「風景」「モノトーン」「雅(MIYABI)」6種類の画像仕上げの中から任意で設定する。この中で「雅(MIYABI)」はどんな仕上がりになるのか、いまいちわかりづらい。
ボディデザイン、操作性はK10Dを継承
K10Dと並べてみるとサイズデザインともにほとんど違いはなく、違いを見分けられるのは2.7型と少し大きくなった液晶モニターと、モードダイアルの形状、シルバーからブラックになったシャッターボタンくらいのものだ。操作系統もK10Dを継承していて、K10Dを使い慣れた人にとってはほとんど違和感なく操作できる。もともとかなり練られて評価の高い操作性なので、あえてここで冒険をして変える必要性もなかったのだろう。
K10D同様、防塵防滴ボディを採用している。普及クラスのK200Dでは、防塵防滴ボディを採用する必要があるのかとも思えたが、ネイチャーカメラマンに多く使われるであろうK20Dでは、必然性があるだろう。しかし、交換レンズはDA★レンズのみにしか採用されておらず、今後のラインナップ拡大を期待したい。
古いレンズでも手ぶれ補正が可能な「シェイクリダクション」
ペンタックスは撮像素子シフト方式の手ぶれ補正を搭載。同様の手ぶれ補正を搭載するのはこのほかソニー、オリンパスがあるが、ペンタックスの場合、装着できるすべてのレンズで手ぶれ補正が出来るのが強み。補正範囲はシャッタースピード2.5〜4段分でK10Dと数値的には変わらないが、アルゴリズムを見直すことで、従来よりも安定性が向上しているという。
手ぶれ補正をファインダーで確認できないデメリットはあるが、特徴的なレンズラインナップのペンタックスの場合は、撮像素子シフト方式が合っているのではないかと思う。
ゴミの付着を知らせる「ダストアラート」
K10D以降、ペンタックスのデジタル一眼レフは撮像素子のダスト除去機構「
ダストリムーバル」が搭載されているが、K20Dではゴミの付着を液晶モニターで表示する「ダストアラート」を新たに搭載。ゴミ除去の効果はオリンパスやパナソニックの超音波振動+完全シールドの機構には敵わないが、ゴミが付着していることが分かるだけでも安心感が違う。この機構はおそらく他社の追従してくるのではないだろうか。
動体撮影はちょっと苦手
多くのペンタックスファンが最も期待していたのが、シャッターレスポンスやAF、連続撮影速度の向上ではないだろうか。しかし、残念ながらK20Dはこれらの部分については基本的にK10Dと同等で、他社の中級機が軒並み5コマ/秒を超える連続撮影を実現している中、3コマ/秒ではやはり寂しい。AFは9点クロスの11点測距とスペック的には贅沢だが、スピード面ではキヤノンやニコンのレンズ内モーターAFとは差があるようだ。レリーズタイムラグ、像消失時間は公表されていないが、他社の普及クラス並程度と考えられる。
ただ、シャッターフィーリングはだいぶ改善されているようで、K10Dのようなバルブモードで撮影したかの様な違和感はなくなり、作動音がマイルドでミラーショックも小さくなっている。
あまり使い勝手が良くないライブビュー
K20Dにはペンタックス初のライブビューが搭載されているが、これがあまり使い勝手がよろしくない。ライブビュー切り替えは、電源レバーをプレビューの位置に合わせるだけで液晶モニターにライブビュー画像が写し出される。AFはシャッターボタン半押しでは作動せず、シャッターを押し込むとピントが合わないままレリーズされる。AFを作動させるには背面のAFボタンを押す必要があり、使い慣れていないと煩わしい。
もっと困るのがライブビュー中に表示される情報が、AFフレームと構図線だけで、絞りやシャッタースピード、露出補正などが表示されないことだ。これはライブビュー中に、AFフレーム以外、何も変更できない仕様になっているからであって、それらの設定を変更するには、いちいちファインダー撮影状態に戻す必要がありとても不便だ。
また、連続表示できるのが3分間までと制限されているのもいただけない。これは撮像素子の発熱を回避するためのようで、3分経過しなくても温度の警告が表示されると、自動的にライブビューが遮断されてしまう。
ライブビューの撮影レスポンス自体は他の機種とたいして変わりないが、いろいろと制約が多すぎてあまり積極的に使ってみようという気がしないライブビューだ。ということでK20Dのライブビューは一応付いています程度に考えておいた方が良さそうだ。
風景写真撮影に適した作画志向の高いカメラ
K20Dは、ほぼ同価格帯のキヤノン EOS 40Dやソニー α700とはずいぶんキャラクターの違うカメラだ。中級カメラとしてはスードレスポンス面でやや難があり、動体撮影は得意でない。かといってそれが致命的というほどでもない。あくまでも、同クラスのライバルと比較してのこと。
一方、画質は素晴らしいものがあるし、それを生かす機能も充実している。また、ボディ内手ぶれ補正や防塵防滴ボディなど、さまざまな状況に耐えられるだけの機能、性能もある。K20Dは、じっくりと腰をすえて撮影するスタイルのカメラで、特に風景写真には適したカメラだと思う。