ボディ内手ブレ補正機構搭載のK100Dに続くKシリーズ第2弾、ペンタックス K10Dは、画質・機能 ・性能共に大幅に向上させ2006年11月登場。このペンタックス初の本格デジタル一眼レフは、予想外のバックオーダーを抱え、発売日を延期した経緯を持つ。
すっきりしたデザインなので写真ではそう大きく見えないが、K10Dはこれまでペンタックスが発売したどのデジタル一眼レフよりも大きく重い。同社の近年のアイデンティティであるコンパクトさは、この機種には当てはまらない。サイズ的にはK100Dよりもひとまわり以上大きく、キヤノンEOS 30Dとほぼ同じサイズで重さだ。同価格帯のニコンD80は585gでK10Dの700gよりも100g以上軽い。
価格を考えると納得出来ないサイズ、重量かもしれない。しかし、K10Dは防塵・ 防滴ボディだし、ボディ内手ブレ補正、センサーのゴミ取り機構まで搭載されている。機能を考えると当然のサイズなのだろう。
やや横長のフォルムで、滑らかな曲面で構成されているので、男性的ないかつさがあまりない。K100Dをそのままスケールアップさせたようなデザインで、やや女性的なおだやかさが感じられる。ボディが大きい分、男性でもグリップしやすく 、剛性感もそこそこある。ポリカーボネートの外装は金属ボディのような質感はないが、表面がエンボス加工してることもあり、 少なくとも価格に見合った雰囲気はある。
ボディサイズに余裕ができ、シャ ッターボタンの前後に電子ダイアルを設置。かつてフィルム一眼「Z-1」などで採用されていたハイパー操作系が復活した。プログラムAEモードのままでダイヤルを廻すだけで、瞬時に絞り優先AE、シャッタースピード優先AEに切り替えが可能。マニュアル露出時にはグリーンボタンを押すだけで適正露出が得られる。
また、ダイヤルを廻すだけでISO感度が自在に変えられ、適正露出が得られる感度優先AEも面白い。感度優先AEは、今後のデジタル一眼レフのトレンドになるかもしれない。K10Dの使い勝手はボディ形状やボタンやダイアルの配置を含め、良く考えられている。
ファインダーは*ist DS2と同スペックで視野率95%、倍率0.95倍。当然ガラスペンタプリズム採用でフォーカシングスクリーンは交換可能。マット面はざらつきがあり、クリアさの面ではニコン D80には劣る印象だが、ピントの山は掴みやすい。これならリミテッドシリーズの単焦点レンズでマニュアルフォーカシングしてみようかという気にさせる。
K10D にはトピックがいくつもあるが、中でもボディ内手ブレ補正の「シェイクリダク ション」のメリットは大きい。ソニーと同じくセンサーをシフトさせる方式だが 、ペンタックスは磁力によってセンサーを移動させる。機械的なロスが少なく、消費電力を抑えられるという。
またペンタックスの手ブレ補正はソニーのボディ内手ブレ補正と異なり、装着できる全てのレンズで補正が可能。例えばマウントアダプターを介して装着した645のレンズでも手ブ レ補正が有効になる。これは、他のメーカーでは成しえないことで、メリットは計り知れない。
キヤノンやニコンの最新のレンズと比較すると補正範囲がやや狭 く、ファインダーで効果が確認出来ない点はあるが、後からやや高価で重い、手ブレ補正レンズを購入する必要がないのはコストの面でも、システム全体の軽量化でも有利だろう。
新たにセンサーのゴミ取り機構「ダストリムーバル」が搭載されたことも嬉しい 。オリンパスの「ダストリダクション」のような凝った機構ではなく、 コーティングと手ブレ補正の振動を利用したシンプルなものなので過信はできない。しかし、まだほとんどの機種に搭載されていない機構なのでアドバンテージは大きい。
K10Dのカタログには「画質革命」と大きく書かれている。このキャッチフレーズは*ist Dシリーズの画質を知る人にとっては眉唾ものかもしれない。はたしK10Dではどれくらいの進化があったのだろうか。
有効1020万画素CCDはソニー α100やニコン D80とほぼ同等のもので、センサー廻りをシンプルにでき、 消費電力の少ない2チャンネル呼び出し方式が採用されている。スピード面ではニコン D200の4チャンネル方式には劣るが、このクラスでは十分だろう。
気になる画質は解像度が非常に高く、暗部の階調に粘りがある。特に解像度の高さは1000万画素 クラスでもトップクラスと言われているだけあって、ライバルのニコン D80よりも高い。これは新開発の22ビットA/D変換や画像エンジン「PRIME」によるところも大きいのだろう。
その半面、白トビはやや目立ちキヤノン EOS 30Dのようなハイライト部の粘りはない。また、ホワイトバランスの影響なのか他機種と比較するとややくすんだ発色になりやすく、黄色が強い印象がある。色調に関してはちょっとクセがあるというのが、大方の意見のようだ。また、高感度ではノイズが多めで、色も失われがち。感度の高さに関してはライバルの1000万画素機や同社の610万画素機のK100Dに劣る。
気になる点もあるが、総合的な画質の評価は高い。画質革命とまでは言えないだろうが、*ist Dシリーズとは隔世の差がある。とても繊細な描写だ。
AFは11点測距で、キットのDA 18-55mmF3.5-5.6ALではストレスなく合焦する。コントラストが低い被写体でもAFの迷いは少なく、定評あるキヤノン EOS 30Dと遜色ない。スペック的にはK100Dと同等のものらしいが、感覚的に合焦速度が速くなったように感じる。
ところがフォーカシングによるレンズの繰り出し量の大きいマクロレンズや、全群繰り出し方式のレンズではAFが遅く、ジージーという作動音が耳に付く。やはりボディ内モーターのAF速度は、装着するレンズにかなり左右されるのだろう。AFに関しては今後発売される超音波モーター搭載のレンズが鍵を握っている。
シャッターは最高速度1/4000秒、シンクロ同調速度1/180秒とK100Dと同等のスペックのものだが、耐久性は向上しているという。気になるシャッターフィーリングはK100Dのような不思議な感覚が少し感じられる。速いシャッタースピードを選択しても「ガッシャン」とシャッターが切れるのだ。
実測値が公開されていないので詳しいことは分からないが、レリーズタイムラグや像消失時間が長めという印象がある。このあたりが、ニコンD200やキヤノンEOS30Dとの差なのだろう。しかし、K100Dと比較すると印象が良い。ミラーショックが抑えられているようだし、ソフトタッチでレリーズできる。こうしたことはスローシャッター時に特に有効になる。
シャッターフィーリングや画像の色調で気になる面はあるが、目くじらを立てるほどでもない。それらが克服されてしまうと、ニコン D200やキヤノン EOS 30Dを凌駕してしまいそうなレベルだ。この内容でボディ価格が10万円を少し越えた程度なのだから、コストパフォーマンスの高さは圧倒的といえる。
K10Dはペンタックスの底力を見せてくれた、ひさびさの改心作。2006年は各社の主力機種の登場が目白押しで、どれも魅力的だがK10Dはそのなかでもレベルが高い。かといって誰にでも躊躇なくすすめられるかといったら、そうではないように思える。やや大柄だし、AFやホワイトバランスの性能が特別優れている訳でもないからだ。初心者が難しいことを考えずに使うには、ややハードルが高いように思える。
ペンタックス K10Dはズームレンズ一本でカメラ任せに撮る使い方は似合わない。 古いタクマーレンズを着けるなどして、遊んでみたくなる。ちょっとクセはあるが基本性能が高く、マニアックな面も持つハイスペックデジタル一眼レフだ。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 有効画素数 | 1020万画素 |
| 撮像素子 | CCD サイズ:23.5×15.7mm |
| 最高解像度 | 3872×2592 ピクセル |
| 感 度 | オート/100〜1600(1/3EVステップまたは1/2EVステップ) |
| 画像記録方式 | RAW、JPEG、RAW+JPEG |
| 記録メディア | SDメモリーカード、SDHCメモリーカード |
| ファインダー | ペンタプリズムファインダー 視野率95%、倍率0.95倍 フォーカシングスクリーン交換式 |
| 液晶モニター | 2.5型 約21万画素 |
| オートフォーカス | 測距点:11点 AFモード:シングルAF、コンティニアスAF |
| 露出制御 | 測光方式:TTL開放16分割測光、中央重点測光、スポット測光 制御方式:グリーン、プログラム、感度優先、シャッター優先、絞り優先、シャッター&絞り優先、マニュアル、バルブ、X 露出補正:±3EV(1/2EVステップ) 、±2EV(1/3EVステップ) |
| シャッター速度 | 1/4000秒〜30秒(1/3ステップまたは1/2ステップ)、バルブ |
| 連続撮影速度 | 約3コマ/秒 |
| 撮影可能コマ数 | JPEG:カード空き容量まで (最高画質) RAW:9コマ |
| 内蔵ストロボ | ガイドナンバー11(ISO100・m) |
| シンクロ | 同調速度1/180秒 |
| 手ぶれ補正 | 撮像素子シフト方式 |
| 電 源 | 専用リチウムイオン充電池 |
| バッテリー寿命 | 撮影可能枚数:ストロボ発光なし:約500枚、ストロボ50%発光:約480枚 |
| 大きさ | 141.5mm(幅)×101mm(高)×70mm(厚) |
| 質量(本体のみ) | 710g |