パナソニック LUMIX DMC-L10

主な特徴
・フリーアングル、コントラストAF可能なライブビュー
・効果の高い、撮像素子ゴミ除去機構搭載
・描写性能が優れたキットの手ぶれ補正ライカレンズ
・2007年11月発売
パナソニック LUMIX DMC-L10 価格比較

最強のライブビュー機能をもつエントリークラスデジタル一眼

パナソニック デジタル一眼レフの第2弾、LUMIX DMC-L10は個性的なフォルムのDMC-L1とは打って変わり、同社の高倍率ズームコンパク トDMC-FZ50を思わせる一眼レフらしいフォルムを採用。かなりターゲットを絞り込んだDMC-L1に対して、DMC-L10では幅広いユーザー層にアピールしつつ、圧倒的なライブビュー機能で差別化を図る。

コントラストAF、顔認識AF・AE搭載

DMC-L10の魅力は、ライブビューに集約されていると言ってもいいほど、様々なライブビュー機能が盛り込まれている。その中でも革新的なのが、従来の位相差AFに加え、コンパクトデジタルカメラで採用されているコントラストAFがデジタル一眼レフではじめて採用されたことだ。

コンパクトデジタルカメラでは当たり前のライブビューも、デジタル一眼レフでは事情が異なる。これまでのデジタル一眼レフは、ライブビューでAF撮影をしようとすると、ミラーを下げてAFでピント合わせをする必要がり、AF作動時にライブビューを中断する必要があった。撮像素子側でAFが可能なコントラストAFを搭載したDMC-L10は、AFのたびにライブビューを中断する必要がなくなった。

顔認識AF・AE搭載
DMC-L10が搭載するコントラストAFの測距エリアは11点。自動選択の他、任意でフォーカスエリアが選択できる。また、最近コンパク トデジタルカメラで盛んに採用されるようになった顔認識AF・AEも可能で、最大15人までの顔を認識できる。コントラストAFのスピードは素早く、AFエリアの変更は画面がブラックアウトすることなく瞬時に行える。従来のデジタル一眼レフのライブビューではありえなかったことだ。

コントラストAF可能レンズは2本
コントラストAFのために交換レンズにも細工がしてある。一眼レフの交換レンズは、最短撮影距離から無限遠まで動けば良いのだが、コントラストAFは一度ピント位置を通り過ぎる必要がある。そのためDMC-L10と同時発売の「Dバリオ・エルマー14-50mm F3.8-5.6」 と「Dバリオ・エルマー14-150mmF3.5-5.6」では最短撮影距離よりも手前、無限遠よりも遠くまでレンズが動く。現在のところコントラストAFが可能なレンズはこの2本に限られるが、今後発売されるレンズはすべて対応するそうだ。

像の重なり具合を確認できる多重露出
ライブビューのマニュアルフォーカス時には、画面の一部を8倍に拡大してピントを確認できる「MFアシスト」が装備。おもしろい機能としては多重露出撮影機能があり、直前に撮影した画像が液晶モニターに残像として表示され、重なり具合が確認できる。

コントラストAFなのにミラーが動く
せっかくコントラストAFを搭載しながら、シャッターを切るたびにミラーがパタパタ動くのは残念だ。その点、キヤノン EOS 40Dは、コントラストAFこそ備えていないが、ミラーアップの状態で撮影できる静音モードが搭載されている。(MFに限られるが)

撮影スタイルを選ばないフリーアングル液晶搭載

液晶モニターはサイズこそ2.5型とスタンダードなものだが、モニターの角度が上下左右に自由に可変するフリーアングル液晶を世界で初めて搭載。ローアングル、ハイアングルで威力を発揮するのはもちろん、一眼レフでありながら自分撮りまでできてしまう。

その液晶モニターの画質は特に問題は無いが、特別優れているとも思えない。DMC-L10は、液晶モニター主体の撮影となるだろうから、できればソニー α700やニコン D300に搭載されているような超高精細液晶パネルが望ましい。

ライブビュー以外に主だった機能としては、撮像素子のゴミ除去機構が搭載されている。機構はオリンパスE-510などに搭載されるものと共通で、ローパスフィルターとシャッターの間に、約30,000回/秒の超音波振動を発生するスーパーソニックウェーブフィルターを設置。撮像素子はスーパーソニックウェーブフィルターで完全密閉され、ゴミやホコリの侵入を徹底的に排除している。

ホールドしやすいが、キットの標準ズームは大きく重い

DMC-L1よりも小型・軽量化されているが、特別目を引くようなコンパクトさはない。DMC-L10よりも画面サイズが大きいEOS Kiss デジタルXや、ニコン D40シリーズよりも幾分大きく、重量は同程度なのだ。ただ、無理に小型化せずに、しっかりしたグリップを備えているので、このクラスの中ではホールド感はなかなかいい。

キットの手ぶれ補正搭載レンズ「Dバリオ・エルマー14-50mm F3.8-5.6」は、ボディと大差ないほど重量があり(434g)、ボディに装着するとかなりフロントヘビーになる。ただ、オリンパスのレンズも共有できるので、コンパクトな「Zuiko Digital14-42mm F3.5-5.6」などを選ぶことも出来るが、手ぶれ補正は効かない。また、DMC-L10の売りのひとつでもある、コントラストAFも使用できなくなってしまう。

ファインダー、AFは見劣りする

電子ダイヤルは前後に2つのダイヤルを装備していて、露出補正などが瞬時に行える。AF即距点変更(3点しかないが)やドライブモード、測光モードなど使用頻度の高いマニュアル機能は基本的にワンアクションで設定できるように配慮されていて、全体的に操作性は良好といえる。

連写速度は3コマ/秒と標準的。JPEGではメモリーカードがいっぱいになるまで連写可能だが、RAWでは3コマまでに制限される。連写機能を誇る機種ではないが、このクラスとしても物足りない。

圧倒的なライブビュー機能に比べ、ファインダーでの撮影はかなり見劣りする。 ファインダー倍率は0.92倍だが、フルサイズに換算するとわずか0.46倍足らずと小さく、ピントの山が掴みにくい。像を1.2倍に拡大するマグニファイヤーアイカ ップが付属しているが、眼鏡を掛けている人は画面周辺が見づらいだろう。画面サイズの小さなフォーサーズで、ライバル達と張り合えるだけのファインダー性能を確保するには、オリンパス E-3のように、コストとサイズに余裕がなければ難しい。

AFは横一列の3点測距でレンズ内モーターで駆動。左右の測距点がかなり中央寄りに配置されているのでフォーカスエリアは狭い。AF性能もキヤノンやニコンの普及クラスよりも劣るようだ。DMC-L10のファインダー、AFは他の普及クラスのデジタル一眼レフと比較しても見劣りする。

DMC-L10を見ていると、ライブビューがメインで、ファインダー撮影が補助的なものに思えてしまう。ここまでやるのなら、いっそのこと、光学式ファインダーをやめてしまって、電子式ファインダーにしてしまってはどうかと思うくらいだ。

高感度時以外はライバル達と同等の画質

撮像素子はDMC-L-1の750万画素から、1010万画素に高密度化されているにもかかわらず、低ノイズ化されている。しかしさすがに撮像素子の大きなEOS 40DやニコンD300のようにISO1600を常用にするレベルにはなく、ISO800くらいからノイズが目立ちはじめ、解像度も落ちる。このあたりはセンサーサイズが小さいことが影響しているのだろう。

L-1の弱点であったオートホワイトバランスはかなり改善され、安心して使えるレベルまで引き上げられている。またDMC-L10ではレンズに応じて「ヴィーナスエンジン」で色収差を補正している。ライカレンズ、撮像素子、画像エンジンとの組み合わせで、総合的な画質は、他のAPS-Cサイズのデジタル一眼レフと同じレベルまで引き上げられた。

デジカメWATCH実写速報

割高だがライブビューの魅力は大きい

実勢価格はボディ単体で10万円弱、レンズキットで15万円弱。(共に発売時)
EOS Kiss デジタルXやニコン D40X、オリンパス E-510が、レンズ込みで10万円弱で購入できることを考えると、15万円弱は高い。特にキットの手ブレ補正機構搭載の「Dバリオ・エルマー14-50mm F3.8-5.6」は割高でサイズ、重量ともにひとクラス上だ。

L-10はライカブランドの他にオリンパスのZUIKO DIGITALレンズとも互換性をもつが、手ブレは効かないしコントラストAFも使用できない。DMC-L10の機能をフルに使うには、大きく高価な「Dバリオ・エルマー14-50mm F3.8-5.6」や「Dバリオ・エルマー14-150mmF3.5-5.6」を選ぶしかなく、選択肢は少ない。

DMC-L10はDMC-L1と比較すると、幅広いユーザーをタゲットにした普及クラスのデジタル一眼レフだ。しかしライブビュー以外の機能は目立ったところがなく、全てにおいて及第点とは言いがたい。特にAFが見劣りするので、誰もが安心して使えるという点においては、キヤノンやニコンの普及クラスと比較すると1歩及ばないだろう。DMC-L10の魅力は、写真を変えるだけの可能性をもったライブビュー機能に尽きると思う。ライブビューがあまり必要でない人は、別のカメラを買った方がいいだろうが、ライブビューで選ぶならばDMC-L10は、間違いなく現時点で最高の機種だ。