ニコン D300
主な特徴
・視野率100%ファインダー
・3.0型92万画素液晶はライブビュー可能
・高密度51点測距、充実のAFシステム
・信頼性、ホールディング性に優れた防塵・防滴ボディ
D200の後継機というよりもD2Xsの改良版
ニコン D300は、2005年12月発売のベストセラー「D200」の後継機種となり、初代のD100から数えて3代目となる。かつてキヤノン EOS
2桁シリーズ(EOS D60やEOS 10D)の対抗モデルの位置付けだったニコン D100は、モデルチェンジ重ねるたびに上級機種へと移行、D3がフルサイズになり、D300は格上げされてD2Xsに代わるDXフォーマットのフラッグシップを任されることになった。
一方、キヤノン EOS 2桁シリーズは、機能、性能の向上を図りながら低価格化し、EOS 40Dが実売14万円台。一方、ニコン D300は22万円台と、8万円もの価格差がついてしまった。(共に発売時の実売価格)
細部を煮詰めた信頼性が高いボディ
ボディデサイズ、デザインがD200とほとんど変わりないことからも、D300はD200の後継機種という位置づけになっているのだろう。ボディはマグネシウム合金製で
防塵・防滴構造を採用。シャッターボタン周りの形状、背面のグリップ形状が見直され、手が小さい人にとってもホールドしやすくなった。しかしさすがに重量が800g以上あるので長時間の手持ち撮影はしんどい。
ダイヤルは中・高級機らしく前後に設けてあるが、前ダイヤルがクリック感が乏しく動きが渋い。また、キヤノン機に慣れたユーザーからしてみれば、シャッターボタンの下にある前ダイヤルの位置に違和感を覚えるだろう。
劇的に見やすくなった92万画素液晶
これまでデジタル一眼レフに限らず、液晶モニターはおしなべて23万画素程度のものが長い間採用され続けてきた。D300では
3.0型にサイズアップし、ソニー α700と同じく
92万画素の超高精細液晶モニターが搭載された。細部の描写は23万画素液晶とは隔世の差で、メニュー表示も非常に見やすく気持ちが良い。さらに視野角が広く、斜めから見ても色が転ばない。これだけの表示性能を持っていれば、ライブビューに持って来いだが、残念なことにライブビューの操作性は芳しくない。
高解像度、低ノイズを両立した1230万画素CMOS搭載
撮像素子は
ソニー製、有効1230万画素CMOSセンサーを搭載。ソニー α700とほぼ同等のものと考えられる。このセンサーは高密度化と低ノイズ化を両立したもので、RAWモード時に14ビット出力が可能になった。標準感度はISO200とD200のISO100よりも高くなり、
高感度側はISO6400まで対応。画素数アップに伴い解像度が向上しているが、1000万画素クラスと明らかな違いはないようだ。ただしD200と比較するとメリハリがつき、レタッチなしでも見栄えのする画像になった。
以前、高感度ノイズの少なさはキヤノンのCMOSの独壇場だったが、D300のCMOSはEOS 40Dといい勝負だ。D300は標準設定でノイズリダクションが「ON」になるが、高感度時の解像度も確保されていて、なによりもノイズが少ない。ほぼ同じ画素数のD2Xsとは比較にならないくらい高感度時の画質は向上している。
AFシステムの充実度はキヤノンを超える
ニコンのAFは長い間キヤノンから遅れをとっていた印象があるが、D300ではD3と同等のAFが採用され、格段にレベルアップが図られた。測距点は世界最多となる
51点。キヤノン EOS-1D Mark IIIでは任意で選択できる測距点を19点に減らしているが、D300は51点全てを任意で選択することができる。さらにクロスセンサーを11点とし、精度、スピードともに向上している。ただし、クロスセンサーは中央エリアのみとなり、周辺部は中央部と比較すると見劣りする。
測距点が増えたことで、「ダイナミックAF」は完成度を高めた。被写体がフォーカスポイントから外れても、周辺でカバーするフォーカスポイントが多いため、意図するポイントにピントが合う精度が高まった。またモードを「3D-トラッキング」に設定すると、測光用センサーを利用して、被写体を追尾し自動的にフォーカスポイントを切り替える。少々使いこなしにコツが要るようだが、実用性が十分にある。
フォーカス精度や周辺部のAFスピードでは、キヤノンEOS 40Dよりも若干劣るようだが、AFシステムの充実度という点ではこのクラスはおろか、あらゆる機種の中で最高峰といえる。
最高8コマ/秒の連写、抜群にキレが良いシャッターユニット
連写速度はD200の5コマ/秒から
6コマ/秒に高速化。EOS 40Dの6.5コマ/秒には及ばないが、よほどの事がない限り不満はないスピードだ。さらにマルチパワーバッテリーパックを装着すれば、8コマ/秒の連写が可能になる。ただし、14ビット・RAWモードに設定すると連写速度が2.5コマ/秒に落ちてしまうので注意が必要だ。
高速化に伴いシャッターユニットも改良された。D200と比較するとシャッター音が明らかに異なり、D200以上にキレが良く、ミラーショックも抑えられている。レリーズタイムラグは45ms、像消失時間100msと短縮され、クラストップのレスポンスを誇る。(D200はレリーズタイムラグ50ms、像消失時間105ms)
大きく見やすい100%ファインダー、ただしフォーカシングスクリーンは固定式
DXフォーマットのフラッグシップというだけあって、ファインダー視野率100%を実現。倍率は0.94倍とD200と変わらないが、視野率が大きくなった分、ファインダー像はひとまわり大きくなった。ピントの山の見え具合いはD200と変わりないが、AFフレーム表示がシンプルになり、すっきりと見やすくなった。一方、フォーカシングスクリーンはD200同様固定式。D300よりも低価格なEOS
40Dが、スクリーン交換式ということを考えると、フラッグシップと呼ぶには少々物足りない。
ニコン初のセンサークリーニング機構搭載
新しい機能として、撮像素子のゴミ除去機構が搭載された。ローパスフィルターに4種類の周波数の異なる振動を与えてゴミを払い落とすというもの。これで随分とゴミ付着の心配はなくなったが、オリンパスのような凝った機構ではないようだ。
ライブビューはコントラストAFが可能だが、使い勝手は良くない
D300にはニコン初のライブビュー機構が搭載された。ライブビューモードは「手持ち撮影」と「三脚撮影」の2種類で、メニュー画面で選択をする。
「手持ち撮影」モードは大方のライブビュー同様、シャッターボタン半押しでミラーダウンし、位相差AFでピント合わせをした後にライブビューに復帰する。「三脚撮影」モードはライブビュー時にミラーダウンすることなく、コントラストAFでピント合わせをする。ただしフォーカスポイントを移動するのにやたら時間がかかる上に、AFスピードはかなり遅く、MFでピント合わせをした方がよほど速いと思える。同じくコントラストAFを搭載するパナソニック
DMC-L10と比較すると、実用性はかなり低い。
ライブビューの使い勝手は正直良くない。他のメーカーのライブビューはボタンひとつで瞬時に切り替わるのだが、D300はそうではない。ライブビュー状態にするにはモードダイヤルでLVを選択し、シャッターボタンを押す必要がある。さらにシャッターボタンを押して撮影が終わると、ミラーダウンのままで画面はブラックアウトのままだ。ライブビューに復帰するには再度シャッターを押す必要があるのだ。また「三脚撮影」モードでは絞り込んだ状態のが表示され、絞り開放でMFで厳密なピント合わせをしたい場合は、ダイヤル操作で絞り値を開放にする必要がある。どうもこうした煩雑な操作性を見てしまうと、ニコンはライブビューに積極的ではなく思えてしまう。
プロを視野に入れた趣味カメラの最高峰
単に画質を求めるならば、D300以外のカメラを選んだほうがお特だ。確かに解像度が高く、高感度ノイズも少ないが、1000万画素クラスと画質に大きな差があるわけではない。それに、そう遠くないうちに下位機種にもD300の画質は引き継がれるだろうし、いずれペンタックスも同等の撮像素子を搭載してくるだろう。
しかしAFやファインダー、ボディの信頼性など、カメラのとしての基本性能の高さは、当分色褪せることはない。さらに操作性や信頼性、質感などトータルバランスは非常に高く、D300以上のものを求めようとすると、同社のD3かキヤノン
EOS-1Dシリーズしか見当たらない。D3がプロに特化したフラッグシップ機だとしたら、D300はプロの使用を視野に入れた趣味のカメラの最高峰。20万円を越える価格は安くはないが、それだけのものはあると思う。
発売時参考価格
ニコン D300ボディ: 228,000円(税込み)
AF-S DX18-70Gレンズキット: 268,000円(税込み)
AF-S DX18-200Gレンズキット: 316,000円(税込み)
○
ニコン D300 価格比較
ニコン D300 性能表
| 項目 |
仕様 |
| 有効画素数 |
1230万画素 |
| 撮像素子 |
CMOS サイズ:23.6x15.8mm |
| 最高解像度 |
4288×2848 ピクセル |
| 感 度 |
ISO 200〜3200(ISO 100相当に減感、ISO 6400 相当に増感可能) |
| 画像記録方式 |
RAW、JPEG、RAW+JPEG |
| 記録メディア |
CFカード(タイプI、II準拠)
マイクロドライブ |
| ファインダー |
ペンタプリズムファインダー
視野率100%、倍率0.94倍
フォーカシングスクリーン固定式 |
| 液晶モニター |
3.0型 約92万画素 |
| オートフォーカス |
測距点:51点
AFモード:シングルポイントAFモード、ダイナミックAFモード、オートエリアAFモード |
| 露出制御 |
測光方式:マルチパターン測光、中央部重点測光、スポット測光
制御方式:プログラム、シャッター優先AE、絞り優先AE、マニュアル露出
露出補正:±5段の範囲で1/3、1/2、1段ステップで補正可能 |
| シャッター速度 |
1/8000〜30秒(1/3、1/2、1段ステップ)、バルブ |
| 連続撮影速度 |
約6コマ/秒、8コマ/秒(マルチパワーバッテリーパック使用時) |
| 内蔵ストロボ |
ガイドナンバー12(ISO100・m) |
| シンクロ |
同調速度1/250秒 |
| 電 源 |
専用リチウムイオン充電池 |
| 大きさ |
147(幅)×114(高)×74(奥行)mm |
| 質量(本体のみ) |
825g |