キャノン EOS Kiss X2

デジタル一眼レフでトップシェアを続けるEOS Kiss デジタルシリーズの4代目「EOS Kiss X2」が登場した。Kiss X2は「EOS Kiss デジタルX」の上位機種となり、当面は併売されるようだ。上位機種を上回る1220万画素CMOSセンサー、コントラストAFが可能になったライブビューなどが注目されるが、ファインダーやシャッターレスポンスなど、これまで普及機があまり力を入れていなかった部分が着実に進化している。
主な特徴
・コントラストAFが可能なライブビュー
・新開発1220万画素CMOSセンサー
・大きく見やすくなったファインダー
・シャッターレスポンスが向上
・3.0型液晶モニター
・明るさ・コントラストを補正する「オートライティングオプティマイザー」
・3.5コマ/秒の連続撮影速度

2008年3月発売
発売時参考価格:89,800円
  EOS Kiss X2 価格比較

質感が向上し、軽くなったボディ
ボディサイズは液晶の大型化が影響したためか、Kiss デジタルXよりも若干大型化された。一方、重さは35gほど軽量化され、ニコン D40オリンパス E-510とほぼ同じ重さになった。

ボディデザインは連続した曲面から構成され、なかなかうまくまとめられた良いデザインだと思う。また、グリップ部分がシボ革風になって、質感はこれまでのKiss デジタルシリーズの中ではいちばん良く、少しだけ高級感がある。グリップは細身で高さ方向に余裕がないので、手の大きい人にとってはやや窮屈なホールディングになるが、シャッターボタンの位置は以前よりもずいぶんしっくりくる。

SDメモリーカードを採用
今回のモデルチェンジで、キヤノンのデジタル一眼レフとしては初めてSDメモリーカードが採用された。上位機種との互換性はないが、多くのコンパクトデジカメが採用しているので、これからデジタル一眼レフにステップアップするユーザーにとってはありがたい。

3.0型23万ドットの液晶モニター
液晶モニターはクラス最大の3.0型を採用。特別画質がいいわけではないが、画面が大きくなったことで情報表示が見易くなった。 また液晶モニター再生時、表示切り替えのレスポンスが向上しているようだ。

使い心地は格段に向上
今回のモデルチェンジで最も変わったと思えるのが、使い心地が格段に良くなったことだ。

ファインダーは0.87倍、
これまでEOS Kissデジタルシリーズの数少ないウィーク ポイントだったファインダーは格段に見易くなった。先代では0.80倍だったファインダー倍率が0.87倍に大型化。スクリーンはEOS 40Dと同じくプレジョンマットを採用。フォーカスフレームが従来よりも目立たなくなり、マニュアルフォーカスはずいぶんとやりやすくなった。

クラス最速レベルのシャッターレスポンス
シャッターフィーリングも明らかに変わった。甲高い音はあいかわずなのだが、「カシャーン」と後に引きずる音は「カシャ」と切れが良くなった。どうやらシャッターユニットを改良したらしく、レリーズタイムラグは90ミリセコンド、像消失時間は130ミリセコンと、このクラスとしてはかなり短い。こうしたセールスポイントになりにくい部分まで地道に改良してきたのはとても評価できると思う。

3.5コマ/秒の連続撮影速度
連続撮影速度は普及クラスでは最速となる3.5コマ/秒に引き上げられた。連続撮影コマ数もJPEG最高画質で27コマから53コマへとアップしている。一方RAWでは10コマから6コマへと減少しているが、あまり使われることのないRAWのコマ数が減ったことよりも、使用頻度が高いJEPEGのコマ数が増えたことを評価すべきだろう。

1220万画素CMOSセンサーで若干解像度が向上
画素数は210万画素アップし1220万画素となり、上位機種のEOS 40Dを抜いた。しかしKiss X2が多画素化したのは画質の向上よりも、画素数で画質を判断するユーザーに対応するためではないだろうか。実際、多画素化に伴う解像度の向上はごくわずかで、ピクセル等倍でなんとか違いが分かるレベル。1010万画素のEOS 40Dと比較すると、状況によってはEOS 40Dの方が高精細に見えるようだ。高感度ノイズは、Kiss デジタルXとほとんど同じか若干多くなっているレベルで、ノイズが減っているわけではないようだ。

画素数アップしてもほとんど違いがわからないのならば、画素数は据え置きで、低ノイズ化、広ダイナミックレンジ化した方が、ユーザーにとってメリットが大きいのではないかと思う。それ以前にユーザーの認識を変えないと、いつまでたってもあまり意味のない画素数競争は収まらないだろう。

「オートライティングオプティマイザ」などの作画機能が充実
新しい作画機能として「オートライティングオプティマイザ」が搭載された。ソニーの「Dレンジオプティマイザー」やニコンの「D-ライティング」にあたるこの機能は、コントラスト、露出を自動補正し、失敗写真を少なくするというもの。特徴としては顔認識機能を持っていて、被写体に顔があると、より強い補正効果が得られる。残念なのはJPEG、AE時にしか機能しない点で、RAW、RAW +JPEG、マニュアル露出時には対応していない。

作画機能はこの他、白飛びを抑える「高輝度側階調優先機能」や「高感度ノイズ低減機能」があるが、高感度ノイズ低減をオンにすると連続撮影コマ数が激減するので注意したい。

コントラストAFが可能なライブビュー
ライブビューは位層差AFの他コントラストAFに対応、パナソニックやオリンパスと違い、全てのレンズでコントラストAFが可能となっている。コントラストAF時は、ミラーダウンせずにライブビューのままAFピント合わせができる。

コントラストAFスピードはかなり遅く、動体には向かないが、画面のどの位置でも正確なピント合わせができるメリットがある。ただし連続して撮影する場合、シャッターを切ると2コマ目以降からミラーが上下し、その間ブラックアウトする。これはミラーとシャッターが連動しているためで、ミラーの動きをなくすにはEOS 40Dのように、ミラーとシャッターをそれぞれ別のモ ーターでチャージする必要がある。

キットレンズに手ぶれ補正が搭載
ソニー、ペンタックス、オリンパスから、相次いでボディ内手ブレ補正を搭載機が発売された影響なのか、EOS Kiss X2では標準のキ ットレンズが手ブレ補正機構搭載の新レンズ「EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS 」に変更された。

このレンズは、従来の手ブレ補正未搭載「EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM」からわずか10gの重量増でありながら、シャッタースピード4段分もの補正効果が得られる。また、ボディとセットならばわずか1万円の差額で購入でき、かなりお得で、これならば価格的なハンデはない。

センサーのゴミ除去はローパスフィルターに超音波振動を与え、ゴミを震い落とすというもの。撮像素子手ブレ補正を利用したソニー、ペンタックス方式よりも効果は高いようだが、完全シールドされたオリンパスやパナソニックのような絶大な効果は期待できない。

キットレンズに手ぶれ補正が搭載
EOS Kiss X2は正当派のエントリークラスデジタル一眼レフだ。特別革新的な機能はないが、どれをとってもレベルが高く、必要な機能は満たしている。特にAF、連写性能、シャッターレスポンスはクラストップレベルで、上級機と併用してもストレスを感じることは少ないだろう。また従来機のウィークポイントだったファインダーはかなり改良され、欠点らしい欠点が見当たらなくなった。競合がひしめくこのクラスのデジタル一眼レフの中でも、EOS Kiss X2は誰にでも安心してすすめられる数少ない機種だ。