キャノン EOS 30D

前モデルEOS 20Dから劇的な進化は無いものの、機能面での充実を図り、完成度がよりいっそう高まったオールラウンダー。EOSデジタルでは影が少々薄いものの、コストパフォーマンスが優れた中堅機。はじめの1台としても候補に挙げられる。
EOS 30D 価格比較

完成度とコストパフォーマンスが高い中堅機種

EOS30DはEOS 20Dの後継機種として、2006年3月に登場。 2005年12月に発売になったニコン D200の事実上ライバル機種にあたる。先代からの主な変更点は、ピクチャ―スタイルの搭載、液晶モニターの大型化、連続撮影枚数のアップ、シャッターユニットの耐久性アップといった、 キャノンとしては比較的地味なモデルチェンジにとどまっている。

これまでこのクラスで大きなアドバンテージを持っていたEOS 20Dからすると、少々物足りなくも思えるモデルチェンジで、大幅なスペックアップを果たしたニコンD200には太刀打ちできないのではと思えるほどだった。 しかし、キャノンはそれを見込んでか、D200との真っ向勝負を避けてきた。機能・性能をアップさせながら、価格を大きく下げたのだ。

EOS 30DはEOS 20Dよりも実売価格を4万円ほど下げ、エントリー機のEOS Kiss デジタルNとの価格面での格差を小さくした。これは、2005年10月に発売になったフルサイズデジタル一眼レフEOS 5Dとの兼ね合いもあったのかもしれない。

高感度での画質は圧倒的

センサーはEOS 20Dと同じく有効820万画素のCMOSを採用。1000万画素オーバーを期待していたキャノンファンは、ちょっと肩透かしを食らった感があったかもしれない。しかし、これまでのモデルチェンジの流れからすれば、順当だったのだろう。それにEOS 20Dは画質面で相当なアドバンテージがあったので、画質の大幅な向上は必要なかったのかもしれない。

さて、気になる画質は解像度やダイナミックレンジはEOS 20Dとほとんど変化はない。820万画素ながら精細感が高く、ぱっと見はニコン D200よりもメリハリがあって好ましく見える場合もあるが、 解像度はニコン D200の方が僅差で上だろう。一方ハイライト部の描写は粘りがあり、ニコン D200よりも白とびが少ない。

EOS 30Dがニコン D200に比べ明らかに勝っているのは高感度時の画質で、ISO 800以上になるとその差は明らかになる。ノイズが極めて少なく解像度を犠牲にしていないのだ。 高感度の画質はEOSデジタルの得意とするところで、低ノイズで感度の高い自社製のCMOSセンサーによるところが大きいだろう。

画質を調整する上で便利な機能なのが、新しく搭載されたピクチャースタイルだ。EOS 20Dでは現像パラメーターの設定で色調を変えていたが、EOS 30Dではあらかじめ用意された6種類のプリセットと 3種類のユーザー設定で、複雑な調整をせずに意図する色調に変えられる。

評価が高かった画質もここにきて下位機種が次々に10メガ機にステップアップしたことで、 アドバンテージは一気に小さくなった。特に2006年9月にEOS Kiss デジタルXが登場してからは画質でEOS 30Dを選ぶ意味はほとんどなくなってしまった。 感度の高さこそEOS 30Dの方が若干上との意見が多いが、解像度の点ではEOS Kiss デジタルXがEOS 30Dを上回ってしまった。それでもA-3サイズでプリントしてはじめて違いがわかる程度なので、ほぼ同等と考えても良いだろう。

バランスが取れていて被写体を選ばない

ボディ形状、サイズは先代EOS 20Dと並び比べてみても、ほとんど違いは見出せない。違いは背面に位置する液晶モニターの大きさで、従来の1.8型から2.5型へサイズアップされ、画素数も11.8万画素から23万画素へアップしている。液晶モニターはEOS 20Dの唯一といってもいいほどの弱点で、 大幅に見やすくなっている。しかし、他社の同じスペックのものと比べると、青みががかっていてやや暗めだ。

ボディサイズはニコン D200とほぼ同じだが、重量は700gでEOS 30Dの方が130gも軽い。防塵・防滴仕様でないことや、シャッターユニットの違いによるところが大きいのだろう。外装はマグネシウム合金製で、剛性感、質感共に高く、EOS Kiss デジタルXと比べるべくもない。グリップ感は手の大きい男性でもしっくりくるもので、同社のEF24-105mm F4L ISを装着したときもバランスは悪くなかった。

シャッターユニットは耐久性を高めた新開発のもので、なかなかキレがあって心地よい。レリーズタイムラグ、ミラーショック共に小さくEOS 5D以上のフィーリングの良さだ。ただし、フラッグシップ機並のシャッターユニットを搭載するニコン D200には及ばない。ファインダーはガラスペンタプリズム採用で、EOS Kiss デジタルXと比較すると格段に像が大きく、ピントの山がつかみやすい。しかし、これもニコン D200には及ばない。

カメラ部の性能はニコン D200と比較すると見劣りするが、このクラスでは必要十分な性能は備えている。 このあたりがEOS Kiss デジタルXとの大きな違いで、意外とコストがかかる部分でもある。

EOS 30Dは大きなトピックがなく一見地味な機種に思えてしまうが、完成度が高いオールラウンダーだ。さらなる高画質を望むのならば、フルサイズのEOS 5Dを視野に入れてもいいのだろうが、実売価格で倍近くの開きがある。また、レスポンスや連写速度などの面ではEOS 30Dの方が上だ。

問題はEOS Kiss デジタルXの存在だ。 画質面では1010万画素CMOSを搭載したKiss デジタルXの方が有利。またセンサーのごみ取り機能はEOS Kiss デジタルXにあって、EOS 30Dにはない機能だ。

気軽に高画質が得られるという意味ではEOS 30Dは少々部が悪いが、どんな被写体でもこなせてしまいそうな瞬発力がある。また、単焦点レンズや大口径ズームが生かせるボディというのなら、EOS 30Dを選んだほうがよさそうだ。

(2007年1月5日作成)

EOS 30D 性能表
項目 仕様
有効画素数 820万画素
撮像素子 CMOS サイズ:22.5×15.0mm
最高解像度 3504×2336 ピクセル
感 度 簡単撮影ゾーン :ISO100〜400相当自動設定
応用撮影ゾーン :ISO100〜1600相当(1/3段ステップ)、
およびISO3200相当の感度拡張が可能
画像記録方式 RAW、JPEG、RAW+JPEG
記録メディア CFカード(タイプI、II準拠 2GB以上使用可)
マイクロドライブ
ファインダー ペンタプリズムファインダー
視野率95%、倍率0.9倍
フォーカシングスクリーン固定式
液晶モニター 2.5型 約23万画素
オートフォーカス 測距点:9点
AFモード:ワンショット、AIサーボ、AIフォーカス
露出制御 測光方式:評価測光、部分測光、中央部重点平均測光
制御方式:プログラムAE、シャッター優先AE、絞り優先AE、自動深度優先AE、マニュアル露出、E-TTL II 自動調光
露出補正:±2EV(1/2EVステップまたは1/3EVステップ)
シャッター速度 1/8000〜30秒(1/3ステップまたは1/2ステップ)、バルブ
連続撮影速度 約5コマ/秒
撮影可能コマ数 JPEG:30コマ (最高画質) RAW:11コマ
内蔵ストロボ ガイドナンバー13(ISO100・m)
シンクロ 同調速度1/250秒
手ぶれ補正 未搭載(手ぶれ補正レンズで対応)
電 源 専用リチウムイオン充電池
バッテリー寿命 撮影可能枚数:ストロボ発光なし:約1100枚、ストロボ50%発光:約750枚
大きさ 144(幅)× 105.5(高)× 73.5(奥行)mm
質量(本体のみ) 700g