キャノン EOS-1D Mark III
主な特徴
・世界最速10コマ/秒の高速連写
・圧倒的な低ノイズ、広いダイナミックレンジ
・ライブビュー、センサーのゴミ除去機能搭載
・AF、シャッターユニット、ファインダーなどカメラ部の性能アップ
・先代から総重量200g以上の軽量化
・2007年5月発売
全面的に改良されたプロ御用達デジタル一眼
フラッグシップ機で独走を続けるキヤノンが、満を持して送り出したのがEOS-1D MarkIII。先代のMarkII発売が2004年4月なので、約3年ぶりのフルモデルチェンジとなる。今回のモデルチェンジはあらゆる部分に手が加えられている。フィルム時代を含めてもEOSのフラッグシップ機がこれだけ大きく進化するのは初めてではないだろうか。
■大幅な軽量化、操作系統の見直しで扱いやすさが向上
ボディデザイン、サイズは毎度のごとく変更点は少ないが、大幅に軽量化されている。本体重量こそ先代の1225gから1155gと70gの差だが、バッテリーやアイカップを含めると1560gから1335gへと225gも軽くなっている。1D系では初めてとなるリチウムイオンバッテリーの採用で、重量が半減したことが大きい。それにもかかわらず、撮影可能枚数は1200枚から2200枚へとほぼ倍増しているのだ。しかもこのバッテリーは残量が1%単位で表示されるという優れものだ。
本体部分では、ミラーボックスやシャッター周りにもマグネシウム合金を採用し、徹底的に軽量化と信頼性向上を図っている。シャッターユニットの強化も図られていて、耐久性は30万回をクリア、シンクロ同調速度はEXシリーズのスピードライトを使用すれば1/300秒まで可能となっている。
キヤノンのフラッグシップ機はボディデザインとともに、操作性を継承するのがこれまでの流れだが、EOS-1D MarkIIIでは見直しが図られている。これまでは、ボタンを押した状態でダイヤルを回し設定変更する、という操作をずっと継承してきたが、下位機種のEOS
5DやEOS 30D同様、ダイヤルを回してボタンを押して決定、という操作系に変更されている。これならば下位機種と併用しても操作でまごつくことは少ないし、なにより俊敏に操作できる。ここまで旧来の操作系を引っ張ってきたのは、多くのプロカメラマンが馴染んでいたために、変えたくても変えられないという理由があったからだろう。
■描写性能を向上させながら、10コマ/秒の連写速度を達成
撮像素子は820万画素から1010万画素にアップしているが、スペックだけを見ると少々物足りなく思うかもしれない。ただ、高速連写を要求される機種だけにむやみに画素数ばかりを欲張るわけにもいかない。撮像素子以外には映像エンジンがDIGIC
IIIへと世代交代し、1D Mark IIIでは2個搭載している。さらに14ビットA/D変換を採用するなどして、10メガクラスとしては最高の画質を確保。特にノイズの少なさやダイナミックレンジの広さは圧倒的で、同じ画素数のKiss
デジタルXとは比較にならない。
画素数を増やしつつも、連写速度は10コマ/秒を達成している。35mmフィルム一眼レフのEOS-1Vも10コマ/秒が可能だが、動体予測AF時には9コマ/秒にとどまった。1D
MarkIIIでは動体予測AFでも10コマ/秒が可能で、もちろんデジタル一眼レフとしては最高の連写スピードだ。これだけの高速で連写しても像消失時間が80msと短く、ミラーのブレが小さいので像は意外と安定している。
■AF、ファインダーにも手が加えられ快適さ向上
AFは任意選択できる測距点が45点から19点へと減らされている。測距点の数は従来と同じく45点なのだが、そのうちの26点がピントの中抜けを防ぐアシストAFフレームとなった。このため任意選択の自由度は減ったのだが、クロスセンサーは7点から19点に増やし、センサーの感度を高めたことで、ただでさえ高性能だったAFが、さらに進化している。
ファインダーも改良が加えられ、倍率は0.72倍から0.76倍へ大型化されている。ただ、イメ ージサークルが若干小さくなったことによる倍率アップもあるのではないだろうか。それでも先代と比較すると大きく、フォーカシングスクリーンが改良されたこともあり、ピントの山が掴みやすくなっているのは間違いない。さすがにフルサイスのEOS-1Ds
MarkIIIやEOS 5Dには及ばないが。
■ニコン D3と比較すると?
フラッグシップモデルでは当面圧勝と思われたキヤノンだが、ニコン D3が発表になり、にわかに状況が変わった。D3は連写速度こそ9コマ/秒とEOS-1D
Mark IIIに一歩及ばないが、1210万画素フルサイズセンサーや、92万画素液晶モニターなどは1D Mark IIIよりもスペック的には上だ。その反面、センサークリーニング機構やライブビューなど機能的な部分ではEOS-1D
Mark IIIが優っているように思える。いずれにしてもキヤノンにとって、脅威になることは間違いないだろう。
予想以上の進化を遂げ、欠点らしい欠点の見当たらないEOS-1D Mark IIIだが、あえて難クセをつけるとすると、センサーのサイズがAPS-Hサイズと中途半端なことだ。同社のEF-Sレンズは装着できなく、従来のレンズでは1.3倍望遠寄りになってしまう。例えば16-35mmは21-46mm、24-70mmは31-91mmと微妙な画角になってしまい、なんだか損をした気分だ。EOS-1D対応のデジタル専用レンズを発売してくれればいいのだが、あまり期待できないだろう。この点、ニコン
D3は、自動的にイメージサークルが切り替えられ、フルサイズもデジタル専用レンズも本来の画角で撮影できる強みがある。EOS-1D Mark IIIもフルサイズを採用すればと思うのだが、以外に頑固なキヤノンはAPS-Hサイズを貫くかもしれない。
EOS-1D Mark III 性能表
| 項目 |
仕様 |
| 有効画素数 |
1010万画素 |
| 撮像素子 |
CMOS サイズ:28.1×18.7mm |
| 最高解像度 |
3888×2592 ピクセル |
| 感 度 |
100〜3200相当(1/3段、1段ステップ)
ISO50、6400相当の感度拡張が可能 |
| 画像記録方式 |
RAW、JPEG、RAW+JPEG |
| 記録メディア |
CFカード(タイプI、II準拠)、SDメモリーカード
*マイクロドライブ、2GB以上のメモリーカード使用可能 |
| ファインダー |
ペンタプリズムファインダー
視野率100%、倍率0.76倍
フォーカシングスクリーン交換式 |
| 液晶モニター |
3.0型 約23万画素 |
| オートフォーカス |
19点、アシスト26点
AFモード:ワンショットAF、AIサーボAF |
| 露出制御 |
測光方式:評価測光、部分測光、スポット測光、中央部重点平均測光
制御方式:プログラムAE、シャッター優先AE、絞り優先AE、自動深度優先AE、マニュアル露出、E-TTL II 自動調光
露出補正:±3EV(1/2EVステップまたは1/3EVステップ) |
| シャッター速度 |
1/8000〜30秒(1/3、1/2、1ステップ)、バルブ |
| 連続撮影速度 |
約10コマ/秒 |
| 撮影可能コマ数 |
JPEG:110コマ RAW:30コマ |
| 内蔵ストロボ |
未搭載 |
| シンクロ |
同調速度1/300秒 |
| 手ぶれ補正 |
未搭載(手ぶれ補正レンズで対応) |
| 電 源 |
専用リチウムイオン充電池 |
| バッテリー寿命 |
常温(23℃):約2200枚 低温(0℃) :約1700枚 |
| 大きさ |
156(幅)× 156.6(高)× 79.9(奥行)mm |
| 質量(本体のみ) |
1155g |