富士フイルム FinePix S100FS

富士フイルムはFinePix10周年記念となるモデルとなるFinePix S100FSを発売した。S100FSは、コンパクトデジタルカメラの枠を超えた画質に、優れた描写性能の14.3倍ズームレンズを搭載。デジタル一眼レフの価格がこなれてきた現在、需要の少ないハイエンド高倍率ズーム機というカテゴリーに力の入った新製品を投入した。
主な特徴
・広いダイナミックレンジと高感度画質の良さ
・リバーサルフィルムを再現した3種類の「フィルムシミュレーション」
・28mm〜400mm相当の高性能14.3倍ズームレンズ
・3コマ/秒の連写速度
2008年2月発売 発売時参考価格:99,800円  富士フイルム FinePix S100FS価格比較


普及クラスデジタル一眼レフ以上のサイズと存在感
FinePix S100FSはカテゴリー的にコンパクトデジタルカメラに分類されるが、ちっともコンパクトではない。手に取ってみると、とにかく大きいことに驚く。サイズは普及クラスのデジタル一眼レフに高倍率ズームレンズを装着した状態よりも大きく、重さは918gもある。量販店の売り場に陳列されている高倍率ズームデジタルカメラの中でも一際目立ち、凄い存在感だ。

これだけのサイズには理由がある。まず、撮像素子はコンパクトタイプのデジタルカメラで標準的な1/2.5型よりも大きな2/3型、有効1110万画素のスーパーCCDハニカム。さらにズームレンズは、28mm〜400mm相当の14.3倍ズームと欲張りなスペックなのだ。ズーム倍率を抑えるか、撮像素子を1/2.5型にすれば小型化は可能なのだろうが、S100FSはあえて高画質な高倍率ズーム機を目指し、その結果このサイズになった。

素晴らしい画質だが、最高の画質ではない
S100FSの売りは画質の良さだ。新開発の2/3型・スーパーCCDハニカムVIII「HR」は14.3倍ズームに合わせて開発され、カラーネガフィルム並のダイナミックレンジと高精細さを実現している。モニターで等倍鑑賞すると、シャドー部やボケの部分でスーパーCCDハニカム特有のざらついた感じはあるが、プリントした画像はリバーサルフィルムをダイレクトプリントしたかのような、力強さと豊かな色彩がある。

ダイナミックレンジは最大400%まで拡大可能で、特にハイライトの階調表現は、他のコンパクトデジタルカメラから一線を画す。最高感度はフル画素ではISO3200、300万画素ではISO10000まで撮影可能。他のコンパクトデジタルカメラと比較するとノイズはかなり少なく、ISO1600までならなんとか実用に耐えられそうだ。

S100FSの画質はコンパクトタイプのデジタルカメラとしては最上級だが、最高とは言えない。ほぼ同時期に登場したシグマ DP1は、デジタル一眼レフ用のAPS-Cサイズセンサーを移植し、質感描写はF100FSよりも上だ。また、過去にもS100FSを上回る画質のカメラが存在した。ソニーのサイバーショット DSC-R1がそれで、DP1と同じくAPS-CサイズのCMOSセンサーと、24-120mm相当のズームレンズを搭載し、豊かな立体感と大きなボケ描写を実現している。

3種類のリバーサルフィルムを再現した「フィルムシミュレーション」
S100FSのもうひとつの大きな特徴である「フィルムシミュレーション」は、同社のリバーサルフィルム「ベルビア」「プロビア」「アスティア」を再現したもので、微妙に色調、コントラストが異なる。フィルムメーカーらしい機能だが、最近のデジタル一眼レフで採用されているプリセットの画像仕上げと同じ機能で、これ自体は画期的な機能ではない。

S100FSが他と違うのは、フィルムシミュレーションの3種類の仕上げを、3コマまとめて記録できるブラケット機能があることだ。ブラケット機能はこの他に、ダイナミックレンジを100%、200%、400%ずらして記録できる「ダイナミックレンジ・ブラケティング」そして「AEブラケティング」を搭載している。

描写性能が優れた14.3倍ズーム
14.3倍のズームレンズは35mm換算28mm〜400mm相当の幅広い画角をカバーし、同社初のレンズシフト式手ブレ補正を搭載している。その補正効果はシャッタースピード3段分で、ボディが大きく重いこともあるだろうが、他のコンパクトタイプのデジタルカメラよりも補正効果が高く感じる。

ズームのワイド側はF2.8と十分な明るさだが、テレ側ではF5.3と明るくない。しかし、デジタル一眼レフの高倍率ズームはテレ側でF6.3とさらに暗いので、ここは割りきる必要があるだろう。

このレンズは、他の高倍率ズーム機と比較するのが愚かなくらい、描写性能は優れている。これだけのズーム倍率なのに、絞り開放から画面周辺部までしっかりした描写だし、湾曲収差も少ない。

S100FSにはハイエンド機らしく、幅広の手動ズームリングが設けられていて、素早いズーミングができる。一方フォーカスリングは、ボディ寄りに細身のものが設けられていて、ズームリングほど操作性は良くない。もっとも光学ファインダーではないので、あまり快適なマニュアルフォーカスは期待できない。一方、オートフォーカスはコントラストAFながら、フォーカシングスピードは結構速く、低照度でも迷いが少なくなっている。

ビューファインダーは比較的見やすい
ビューファインダーは0.2型と小さいながら、精細感が高く見やすい。2.5型、23万画素の液晶モニターは可動式で上90度下45度のあいだ自由に動かせる。しかし左右には可動しないので、縦位置撮影は考慮していないようだ。

使い手を選ぶかなり特殊なハイエンド機
S100FSは、普及クラスのデジタル一眼レフの代わりに買うカメラではない。家庭でごく普通に使うのならば、普及クラスのデジタル一眼レフの方がお得だし、画質もいい。S100FSはすでにデジタル一眼レフを所有していて、カメラのことをある程度熟知したベテランユーザーをターゲットにしたカメラだ。